フューエル・インジェクションはコンピューターで電子制御された燃料噴射装置のことじゃ。しかしこの燃料噴射装置のシステムはどのようにガソリンの噴射量やタイミングをコントロールしているのじゃろうか?ここではフューエル・インジェクションの種類について一度チェックしておくとしよう。インジェクションがエアフロメーターを通じて算出するデータは大まかにエアフロメーター内に取り込まれた空気の大きさ(体積)や空気の流入速度、そして密度などのデータを元に算出されておる。検出器から得られたデータはエアフロメーターからコンピューターに届けられ、コンピューターは噴射信号をインジェクターに送る仕組みとなっておる。
エンジン内に取り込まれた吸入空気量の体積をエアフロメーターで測定するシステム。
コンピュータでは体積データを算出しインジェクターへ燃料噴射量を定める信号を送っておる。
【Lジェトロニックの主な種類】
☆カルマン渦式
☆メジャリンクプレート式
☆ホットワイヤー式
DジェトロニックはLジェトロニックとは異なり吸入空気量の体積データではなく吸入速度と圧力データを基本データとして電子制御するシステム方式。
Lジェトロニックの「エアフロメーター検出器」の代わりに吸気管圧力を測定する「バキュームセンサー」が取り付けられている。
バキュームセンサーはエアフロメーター同様、取得したデータをコンピューターへ送り燃料噴射量をコントロールしている。
インジェクションとは、燃料噴射装置の意味でキャブレター同様エンジン内のピストンシリンダー内に混合気を送り込む装置の事を指す。排気ガス規制が強化された経緯もあり現在生産されているシリンダーへ燃料を供給する装置はほぼこのインジェクションタイプとなっておる。インジェクションタイプでは、電子制御で混合気の空気とガソリンの割合などを調整できるため、より排気ガスの少ないクリーンな設定で走行することも可能となっておる。
キャブレターの項目でも解説したとおりキャブレターとは気化器(気化装置)の意味を持つ。
対してインジェクションは燃料噴射装置の事を指すため、根本的にシステムそのものが異なっておると把握する必要があるのぉ。
インジェクションでは空気とガソリンの比率を調整する為にキャブレターでは必要としないシリンダー内の空気量をチェックするためのセンサーが必要となる。
尚、この空気の検出を行うセンサーは「エアフロメーター」と呼ばれ、このエアフロメーターで検知された数値は電子制御されシリンダー内へ空気を送り込む速度や混合比率を調整しておるのじゃ。
エアフロメーターは前述した通りインジェクションにとって重要な情報を収集する測定には欠かせない部品じゃ。
ガソリンの噴射はエアフロメーターを通過する空気の流量や温度などの情報が測定され、このエアフロメーターから得られる情報を元に最適な空燃比が算出される。
この適切な空燃比は運転時のアクセルの状況やエンジン始動時など、自動車の状況によっても空燃比が異なる為、これらのプログラム設計されている状況に応じた空燃比を算出し燃料噴射を行なっているという訳じゃな。
排ガス規制が施行されて依頼、ハーレーなど幾つかのバイクの車種ではキャブでの生産は完全に廃止されておる。これはインジェクションが混合比率の調節のみで排ガスのパーセンテージをコントロールできる点にある。
これはインジェクションの大きなひとつのメリットでもあるのぉ。電子制御燃料噴射装置は今後の排ガス規制や地球環境を考慮する上でもハイブリッドシステムや電気自動車などと同様に重要な役割を担う成長分野であると言えるのぉ。
インジェクションのもうひとつのメリットはシリンダーへの「充填効率」の高さがあげられる。
これも従来のキャブレターとの比較となるのじゃが、キャブレターはピストン下降時の負圧を利用して燃料をシリンダー内に取り込む構造であるため、走行中にはどうしても水平方向への慣性の法則が働き完全な燃料の取り込みが難しくなる。
このシリンダーへの燃料の流入不足は当然出力に影響を与える事は言うまでもない。
結果、排気量が同じ車種の場合、キャブとインジェクションでは基本的にインジェクションの方が理論上出力が高くなるという訳じゃ。
インジェクションのメンテナンスは基本的に不要。これも大きなメリットと言える。
設定変更はインジェクションコントローラーを使用すると簡単に幾つかのデータを測定することもできる。
余談だが以前マシンのボアアップの際にサブコントローラーを購入したが取り付けは日曜大工レベルで十分対応可能なレベル。
サブコントローラーがあれば調整はダイヤル一発でキャブ時代から比べると恐ろしくシンプルで容易である。
(※ボアアップは自己責任の上で対応が必要)
インジェクションのメリットについて前項ではキャブレターとの比較で見てきたが、ここでは利点だけでなくインジェクションの欠点についても確認していくとしよう。
インジェクション車のデメリットはここでもキャブとの比較になるが、故障時やトラブル時の対応にある。
まずキャブレター車と比較してインジェクション車のトラブル時にかかるパーツ部品はかなり高額になる。
また電子制御システム自体の性能は上がったものの、やはり機械である以上故障が発生する可能性は十分にある。
内部機器類の不具合の場合はメーカー側でしか対応できないケースも多くキャブ車のように自分でメンテナンスや交換などの対応が可能な範囲が狭い点はインジェクションのデメリットと言えなくもないのぉ。
【インジェクションの欠点】
☆機械・コンピューター部分の故障はメーカーでしか対応できないケースが多い
☆故障時のパーツ代が高額
☆自分でメンテンナンスや交換できる部分が少ない
優れたシステムであるがゆえの欠点でもあるが近年の電子制御タイプの燃料噴射装置は性能が高く簡単に故障するような事はほとんどないという点も覚えておいて欲しいのぉ。
特に日本はコンピューターシステムに関しては世界でトップレベルの技術力を誇っておるのじゃよ。
結論から言えばインジェクションでも押しがけは可能。但し、これは原則としてバッテリーが生きている場合の話じゃ。
もしバッテリーが完全に放電状態である場合は、インジェクションの仕組みから考えても燃料が送られない為、エンジンがかからないことになる。
キャブレター車ではピストン下降時の負圧で燃料が送られるため、押しがけでエンジン始動が可能じゃ。
しかしインジェクションではバッテリーが上がってしまった場合は原則として押しがけはできないというのは事実なのじゃな。
バイクなどの2輪車では非常時の押しがけが重要なテクニックともなるため、バッテリーの寿命の確認は日頃から行なっておくべきチェック項目のひとつと言えるのぉ。
マフラー交換やボアアップを図る際にインジェクションコントーラーの後付を検討しているケース。既に市販されているインジェクションコントローラーは多い。ここでは入門者向きにコントローラーを設置する目的について再確認しておこう。
インジェクションの構造の項目でも解説した通り、インジェクションは吸入空気量の体積や速度をデータ化しコンピューターシステムへ信号を送っておる。
この際、コンピューターはチューニング設定された算式を元に燃料噴射量を制御する仕組みとなっておる。
電子制御式と呼ばれておるのは、「コンピューターセッティング」によって噴射量が制御されておる為じゃ。
但し排気量の変更を行った場合は、今までのセッティングのままでは適正な燃料噴射量から外れてしまう可能性が出てくる。
このセッティングを視覚化、簡易化してくれるパーツがインジェクションコントローラーなのじゃな。
インジェクションコントローラーの設置自体は簡易DIYレベルの作業が出来るものであれば設置は簡単にできるじゃろう。
しかし、初めてセッティング調整を行う場合は、専門知識が多少必要となってくるため最初はショップでセッティングを行ってもらった方が無難。
インジェクションコントローラーはデータをパソコンにダウンロードして蓄積したデータ比較が出来る為、使い慣れてきたら自分で微調整を行っていくと良いじゃろう。
※インジェクションコントローラーのデータはパソコンやスマートフォンで管理が可能
1年程度記録を取っていくと自分の愛車の調子や特徴が掴めるようになってくるはずじゃ。