サーモスタット交換費用・構造と仕組みの解説

サーモスタットとは?サーモスタットの構造・仕組み・原理、交換時期の目安、交換費用と作業工賃の解説。

◆サーモスタット交換費用・構造と仕組みの解説

◆サーモスタットとは?

 自動車部品におけるサーモスタットは主にエンジンルーム内の温度を調節するために設置されておる。

 サーモスタットとはシンプルに言えば水冷式の冷却装置の事じゃ。

 自動車以外ではオーブンや熱帯魚用の水槽の温度調節器や混合水栓内の感知器としてのサーモスタットが有名じゃな。

◆サーモスタットのシンプルな2つの役割と構造

 自動車は運転した直後のボンネット部分を触れてみると熱を感じるようにエンジンのシリンダー内ではガソリン燃料が爆発を起こしながら混合気を生み出し自動車の動力となっておる。

 その為、エンジンがボンネット内に格納されている自動車の場合は、ボンネット部分に熱を感じるわけじゃな。

 しかし、実際にエンジンのシリンダー内に存在する燃焼ガスの温度は約2000度近くの高温となっておる為、エンジンは常時冷却を行いながら作動させる必要があるのじゃ。

 サーモスタットは、エンジンが熱くなり過ぎないように、そして逆に冷え過ぎないように冷却装置であるラジエーターへの冷却水の流れを弁でコントロールする役割を果たしておるのじゃ。

サーモスタットとは?(図)

※サーモスタットのシンプルな2つの役割
1.エンジンが熱くなり過ぎないように弁を開き冷却水を送る
2.エンジンが冷え過ぎないように弁を閉じ冷却水の流れを止める

◆サーモスタットの弁開閉の仕組みと原理

 サーモスタットが熱を完治してラジエーターへの冷却水の流れをコントロールしておるのは前述した通りじゃ。

 では、実際にどのようにして冷却水を調整しておるのかについても確認しておくとしよう。

 サーモスタットの先端部分の写真を見ても分かる通り、サーモスタットは熱によって膨張・収縮を行うことでラジエーターへの冷却水の流れをコントロールしておる。

 心臓は弁が開いたり閉じたりする事で、血液の流れをコントロールしておるがサーモスタットも一定温度に達すると弁が開放されて長く伸び(膨張)冷却水をラジエーターへ送り込む構造となっておる。

 尚、サーモスタットの開閉は約50度前後の温度になると少しずつ弁が開く形になっており、温度が高くなるにつれて弁の開きも大きくなり冷却水がラジエーターへ積極的に流れこむ仕組みとなっておる。

 その為、一定温度になるとサーモスタットが突然全開にまで伸びきってしまうという事ではなく、温度の上昇に合わせて徐々に冷却水の通り道が広がっていくとイメージしておくと良いじゃろう。

◆サーモスタットの故障かな?

 尚、この冷却水の流量をコントロールするサーモスタットが何らかの原因で開かなくなってしまった場合は、エンジン内の熱が十分に冷やされない状態となるため「オーバーヒート現象」を起こす原因となる。

 また、逆に何らかの原因でサーモスタットが伸びきってしまい全く閉じない状態となってしまった場合は、暖気が行いにくくなるため「オーバークール現象」を起こす原因となるのじゃよ。

オーバーヒートとオーバークール(図)

◆サーモスタットの寿命・交換時期の目安

 サーモスタットは、前述したようにラジエターへの冷却水をサーモスタット内の温度感知器で感知し調節する自動車部品のひとつじゃ。

 自動車部品は基本的にどれも消耗品で構成されており、サーモスタットに関しても例外ではないのぉ。

 尚、特殊なトラブル等が無いケースで普通に自動車を管理しながら使用した場合のサーモスタットの寿命は普通自動車で6年~8年程度、軽自動車の場合は4年~6年程度が平均的な寿命ラインと考えておいて良いじゃろう。

◆サーモスタットの交換は基本的に車検時でOK

 サーモスタットの寿命は運転方法や地域的特性など個人差がある為、一概にサーモスタットの寿命はこの程度と限定はできない。

 しかし、交換時期の目安としては上述した普通自動車で6年~8年程度、軽自動車の場合は4年~6年程度を目安に覚えておくと良いじゃろう。

サーモスタットとは?(図)

 一般的にサーモスタットは頻繁に交換が必要となる部品でもなく、使用状況によっては10年近く元気に機能を果たしてくれる場合もあるため、交換サイクルは長い部類に入る自動車部品と捉えて問題ないじゃろう。

 その為、毎回の車検時に整備士にチェックしてもらい必要な時期に交換を行うように覚えておいても問題ない。

 尚、エンジン内部の摩耗はエンジンの暖気が行われるまでのオーバークール時に発生しやすいという特性がある為、寒冷地で使用している自動車の場合はサーモスタットを常時適正に働かせる為にも、一般的な交換時期の目安よりも短いサイクルで部品交換を行なっておいた方が良いかもしれんのぉ。

◆サーモスタット交換費用・工賃

 サーモスタット交換をカーショップや民間の整備工場で依頼する場合にかかる交換費用・工賃の目安について確認しておくとしよう。

 サーモスタット交換を行う際にはガスケットやクーラント液の交換も合わせて行うことになるのが一般的じゃ。

 ここでは交換費用の内訳と合わせて工賃の目安を一覧で確認しておくとしよう。

【サーモスタット交換費用・工賃の目安】
No交換部品交換費用・工賃
交換工賃(技術料)4000円~6000円程度
サーモスタット1200円~5000円程度
ガスケット300円~600円程度
クーラント液(1リットル)1000円~1400円程度

 サーモスタット交換にかかる費用の中で最も高額となるのはおそらく作業工賃、いわゆる技術料と呼ばれるものじゃ。

◆交換費用の内訳を確認しよう!

 作業工賃は基本的に作業時間を単価として費用が発生する仕組みとなっておる事から、例えば旧式の自動車でタイミングベルトを一度取り外さないとサーモスタットの交換ができないような車種の場合は、作業時間がそれだけ長くなることから、上記表の①にあたる「交換工賃(技術料)」にあたる項目の金額が2倍~4倍程度にまで膨れ上がるケースも想定されるのぉ。

 時間工賃の単価は整備工場やカーショップによってそれぞれ異なる為、1時間あたり4000円~6000円程度を見込んでおくと良いじゃろう。

 また、②のサーモスタット本体の費用は1200円~5000円程度と幅広い金額設定となっておるが、これは車種によって金額が大きく異なるためじゃ。

 例えば日本に在庫の少ない外車等の場合や高級車に分類される自動車の場合は、5000円以上のサーモスタットも存在する為、②の単体費用に関しては自分の愛車が適用する製品の価格を事前に確認しておくことが大切であると言えるのぉ。

 また③のガスケットと④のクーラントに関しては良い製品であればやや値段は張るじゃろうが、極端に値段が高くなることは無いため、上記表の金額を目安として把握しておいても問題ないじゃろう。

 尚、サーモスタットの交換費用の総額の平均的な目安としては、やや幅が広くなるがおおよそ6000円~12000円程度を見込んでおくようにしたいものじゃ。

 もちろん、車種や作業時間によっても金額は異なってくる訳じゃが、この金額から大きく逸脱して高額になる事も考えにくい為、もしあまりにも高額な見積もりを受けた場合は、見積書の内訳を確認しどの部分の費用が高額となっているのかについて必ず事前に確認しておくことが大切じゃ。